2021年4月~ブレーキキャリパー固着
イグニションコイル不具合でしばらくエンジンが不調でしたが、コイル交換でエンジンは絶好調に。
しかし、加速や上り坂で徐々にトルクをかけていくと、コイル不具合とはまた別の振動が出るように。
パワートレイン系の不調と思われましたが、実はブレーキの固着が原因だったというオチでした。
解決までやや遠回りしたので、一連の顛末をまとめておきます。
車は 2010年 BMW X1 xDrive25i ABA-VL25 E84 です。
症状①
2021年4月10日(土)にイグニションコイルを全て交換して好調になったエンジンですが、その直後、4月12日(月)から別の振動が発生。
コイルのトラブル中はマニュアルモードで走ってたため、もう少し前から症状が出ていた可能性もあります。
一定速度から加速するときや上り坂に差しかかったときに、これまでになかった振動が出るようになりました。エンジン警告灯は点きません。
この車のミッションは6速ATですが、ほとんどの場合6速1500~1800rpm辺りからじわじわトルクをかけていくと、車体全体を揺らすような振動が発生、アクセルを抜くと収まります。
交差点右左折からの加速でも、たまに症状が出ることがありました。
ガツンとアクセルを踏むようなときや、2000rpm以上回してるとき、トルクをかけていないときには問題ありません。
ある回転域かつあるトルク領域の条件下で多く発生する症状のようです。
エンジン単体でのアイドリングやふけ上がりには問題なく、これまでのコイルが原因だった失火とは全く違っています。
またまたマニュアルモードを駆使、2000rpm以下の回転域を使わない操作で延々と走ります(疲)。
原因は何かなと思いながら、ネットで症状を追求していると、どうもエンジンやミッションのマウントが怪しいかと思われました。
それらのゴムがヘタってエンジンやミッションの位置が下がり、パワートレインの軸が微妙にずれて、さらにトルクをかけたときにエンジンが前から見て反時計回りに傾くことも相まって、回転軸のずれが拡大し振動が発生、たまたま固有振動数とも一致、共振して車体全体を揺らすような振動が発生してるのかなと思えました。
だから、トルクをかけたときに振動がひどくなり、アクセルを抜けば収まるのかなと。
5月2日(日)ミッションマウント、5月23日(日)エンジンマウントを注文。
症状②
5月15日(土)単身先からノシャップ岬経由で稚内にでも行ってみようと出発したところ、今度は症状①とは別のさらに激しい振動が発生、今回はアクセルを抜いても収まりません。
タイヤの回転周期と一致した振動のようにも感じ、エンジンでも駆動系でも操作系でもなく、これは制動系かなと。
ん~、またまたトラブルですか、はぁ~っ、停車して外観一周や下回りを覗いてみますが特に異常は見られません。
直感的に左後輪のキャリパーやディスクまわりをまじまじと見ますが異常なし、恐る恐るホイールにも触れてみますが、さほどの熱さでもありません。再度走り出すも異常なし。
その後、その日の走行約200kmの間、3回ほど同じ症状が発生、一旦止まるとなぜか症状が収まり、どう見てもブレーキだろうと、走りながらポンピングブレーキなどを試しますが効果なしです。
そうこうしながら無事単身先に戻り、スーパーで買い物しようとして車から降りてみたら、やっぱりか!
四輪のうち左後ろのホイールだけが鉄粉で真っ黒。キャリパーのピストンが固着して引きずってるようです。
ディスクやパッドも見てみますが、まだ少し走れるかな?札幌の自宅まで行けるかな?って感じです。
引きずりが酷くなってピストンを引っ込めるのに時間がかかることはあっても、ピストンが引っ込んでるときに走れば、ベーパーロックで急にブレーキが効かないってことにはならないでしょう。
そもそも引きずったままでは振動が酷くて走り続けることができないので。
すぐにキャリパーのピストンシールやピストンブーツのセットを注文します。
引きずって摩耗してるに違いないディスクやパッドも同時に手配します。
単身先では直せないので自宅配送で発注しますが、次の週末に4時間自走で帰れるのかは未知です。
さて週末になり、午後休暇取って最悪レッカーが来てくれるであろう時間帯、明るいうちに着けるように出発。こちら道北ではロードサービスが充実してないことが十分考えられます。
不具合のディスクローター1枚は削れて無くなる覚悟で走り出します。やはり心配したとおり固着が発生、途中何度も止まります。ブレーキ踏むと、だいたい2回に1回固着発生、その固着はだいたい3回に1回解除される感じです。
固着してるとスピード乗ってきたときに振動が発生、低速時には異常が感じれらません。
もういちいち疲れます。
もう懲り懲りで、固着が離れたときにできるだけブレーキ踏まずに走りたくなります。
マニュアルモードに入れっぱなしで、遅いトラックの後ろを車間取ってノロノロ慎重に走ったり、信号を読んだり、エンブレも激しく活用、一般道はつらいので留萌から高速に乗り、結果、苫前から札幌までノーブレーキで走り切りました(汗)。
左後輪キャリパー
5月22日(土)問題の左後輪の修理に取り掛かります。
ジャッキアップしてブロックに乗せて、まずキャリパーを外そうとしますが、何と!7mmの六角レンチが必要です。
さらに、ディスク交換時に外すブレーキバックプレート(キャリパーサポート)は16mmのボックスレンチが必要。
そんなサイズの工具は持ってないですが、これを直さないことには単身先に車で行けなくなります。
仕方なく自転車でホームセンターに走り、16mmのボックスは入手できましたが、7mmの六角レンチって…ありません。
止む無く8mmを買ってグラインダーで削り、やっとで外せました。
工具のサイズが国産と違って、いちいち時間がかかります。
そしてピストンをキャリパーから押し出そうと、ブレーキホースのラインから自転車の空気入れで圧力を加えますがビクともしません。空気入れの圧力計では5kg/cm2かかっています。
仕方なく車のブレーキラインに繋ぎ直し、エア抜きしてエンジンをかけずにブレーキペダルを踏みますがこれでもビクともせず、エンジンをかけて踏んでやっとで出てきました。
当て木をしたりジワジワやるので、いちいち時間がかかります。
案の定錆まみれです。ただ、写真ではキャリパーの中も茶色になっていますが、想像するに、これは分解したときに錆汁がキャリパー内に落ちただけで、錆びてたのはピストンシールより外側~ピストンブーツの間だと思います。
このピストンブーツはキャリパーに被せるようになっていて、ブーツに破れなどは見られなかったことからすると、キャリパーとブーツの間に隙間ができてそこから水が入ってたのではないかと推察します。
キャリパーに被せる部分のブーツの縁に、金属製のリングがゴムに埋め込まれて一体となっており、外からリングは見えません。そのリングが経年劣化で緩くなったのかなと。
または、ブーツが接する部分のキャリパーが錆びて密着性が損なわれ、そこから水が浸入したのかと。
このタイプではなく、ブーツをキャリパーの内側に嵌めこみ、さらにその内側からリングで押し付けるタイプの方が長持ちする気がします。
ピストンの錆汁を拭き取りますが、ピストン自体にかなり錆が見られます。
そして、ブーツもボロボロです。シールには傷みは見られませんでした。
ピストンの錆を、ラストリムーバーやサンドペーパーなどで取り除きますが、ピストン表面が侵食されて凹状になっており、これ以上綺麗になりません。
写真の黄色矢印の付近がこれまでピストンシールと接してた位置で、それより外側(写真では上側)が錆びてたと思われます。
ここで心配になったのは、ディスクやパッドを交換してしまうと厚みが増すので、写真の下方向にピストンが押し込まれ、シールがちょうど錆跡の凸凹付近でピストンと接することとなり、ブレーキフルードが漏れるんじゃないかと。
しかしまあ、多少漏れたとしてもブレーキが急に効かなくなるわけでもないし、ブレーキ踏んでないときは圧力もかからないので、長時間踏むことがあれば別ですが、一般的な乗り方ならたまにブレーキフルードを足しながらで大丈夫かなと。最悪、下回りの塗装が侵されるかも知れませんが。
と思いつつも、今回はディスクとパッドは交換せず、少し様子を見てからにすることにします。
幸いディスクも摩耗限界ぐらいの厚みがあり、パッドもまだ少しですが残っています。片側だけ交換するのも気持ちよくないので、次回の作業で右後輪と同時に交換することにします。
最も錆がひどかった部分の裏側は比較的錆が少ないです。こっちが上側だったのかな?錆が酷かったのは下側で水が溜まっていたとか。ピストン抜くのに苦労したのでどっちが上だったかは覚えていませんが。
キャリパー内部は錆びてはいませんでしたが、ラストリムーバーを付けた部分が茶色くなってしまいました。あまり使わない方がいいかもです。
ネット上の諸先輩の皆様は液体状のものでどぶ漬けなどしてたので、私はクリーム状のラストリムーバーを付けてみましたが。
ここからは、シール、ピストン、ブーツをキャリパーに組付けていきますが、難航しました。
シールをキャリパーに付けるまでは良かったですが、次にピストンにブーツを付けて、ブーツをキャリパーに被せようとしますが、内蔵されているリングがきつくて、どう頑張っても指の力では無理でした。
仕方なく、ブーツからピストンを外し、ブーツ単体でキャリパーに被せる方法とします。
説明書の図によると、リング状の「堅木製プレートで押し込みます」となっています。しかし、そんなものはないので、ん~困った、何か代わりになるものを探していると、ちょうどいいサイズのスプレー缶のキャップを発見、しかし柔らか過ぎて力を加えるとブーツが嵌る前にキャップが潰れます。
そして、さらに合いそうな物を探すと、灯油ポリタンクのキャップを発見!
キャリパーと干渉する部分を少し削るなどして、無事ブーツを嵌めることができました。
次にピストンを嵌めなければなりません。
これも説明書を見ると「圧縮エアを吹き付けるとスリーブがピストンの上に跳ね上がります」と書かれています。
なるほど、自転車の空気入れでエアーを送るとブーツが膨らんで、何度かトライするとピストンにスポンと乗っかってきました。
足でポンプを踏みながら両手も使うので、写真を撮れる状態ではありませんでしたが。
パッドとディスクはとりあえず古いものをそのまま付けます。パッドはかなり減ってボロボロですが。
そして、今回の作業の不具合がないことを確認してから交換してみようと。その方が、もしブレーキフルードが漏れた場合に、原因が明確になると思うので。
タイヤを取り付け試走しますが、もちろん上記症状②の固着は解消、ブレーキの効きも問題ありません。
そして、修理翌日 5月23日(日)夜、単身先に向かったところ、えっ、パワートレイン系が原因だと踏んでた上記症状①も解消!、トルクをかけたときだけ出てた謎の振動はブレーキだったんですか! 、エンジンマウントはその日の朝にポチっちゃいましたが(汗)。
その後も何百キロか走ってみますが、特にブレーキフルードの漏れもなく、ブレーキフルードタンクの液面も下がりません。
右後輪キャリパー
8月23日(月)遅めのお盆休みとなりましたが、連続した休暇が取れたので、右後輪キャリパーもメンテしていきます。
固着はしていませんが、左後輪同様、固着状態に近づいていると思うので。
そして前回、左後輪キャリパーのシールとブーツだけ交換して見送っていたディスクとパッドも含め、左右後輪とも同時に交換しようと思います。
休みの最初の方で交換して、ブレーキフルード漏れが著しいようなら元に戻すこともできるので。もしそうなったらピストンを入手するしかありませんが。
左後輪で作業手順がわかっているのでスムーズに進められます。
そして前回、7mm六角レンチで苦しめられたので、7mmのヘキサゴンソケットとフレキシブルエクステンションバーを購入、ラチェットレンチを使えるようにして、残り3綸の作業効率アップを図ります。
さらに、いろんな用途に使えるので前から欲しかったものですが、置き場所の関係で躊躇していたコンプレッサーも導入、いろいろと楽に早くなります。
キャリパーからピストンを抜いた状態です。やっぱり錆びてます。
ピストンは指では掴みにくいので引っ張っただけでは抜けませんでしたが、そんなに圧力をかけずとも、少し離してエアガンから空気を吹きかけただけでするんと抜けてきました。
錆を落としてみますが、こちらもピストンが侵食されています。
左後輪と違い、反対側もだいたい同じ程度に錆びています。
何だかペーパーのかけ方が雑ですね。
今回の作業では、両後輪ともディスクとパッドを新しいものに交換します。
右後輪はパッドもディスクもまだ使えそうですが、片側だけ交換するのも気持ちよくありませんので。
後輪ディスクの外側面です。左右がわからなくなってしまいましたが、変色度合から写真右側が固着した左後輪のものかと。
内側面です。写真左側のディスクのレコード盤状の溝掘れが目立ちます。
後輪ディスクの摩耗限界厚は18.4mmです。
厚みを測るとちょうど摩耗限界程度です。100均のノギスですが。
想像では、左後輪のディスクがピストン固着により著しく減ってると思ってましたが、後輪2枚ともに同程度の厚みでした。
パッドは引きずってた左後輪がボロボロでしたが。
その後1000kmほど走っても、ブレーキフルードの漏れやタンク内の液面の低下も見られませんが、しばらくは注意しながら様子を見ようと思います。
右前輪キャリパー
9月19日(日)前輪のキャリパーメンテも進めていきます。きっと後輪同様固着状態に近づいてると思われたので。
前輪はキャリパーもピストン径も、後輪よりは格段に大きいです。
後輪キャリパーもかなりの重さがあったので、前輪は特段の覚悟を決め作業を開始します。
ところが、あれ?軽いぞ!拍子抜けです。
写真右上の赤矢印の白い円形のものは、この後のブーツをキャリパーに嵌める圧入に使った百均の瓶の蓋です。
汚れてはいますが、よく見ると錆ではないです。
なるほどアルミ製キャリパーです。
キャリパー内部も全く綺麗です。
ピストンも全く錆なしです。
写真は組み付けるのにラバーグリースを塗ったところです。
ピストンもアルミ製ですかね。
後輪のキャリパーは鋳鉄、ピストンは鉄にクロムメッキだったので。
これまで乗った国産車も鋳鉄以外見たことなかったです。
アルミ製素晴らしいです。こんなんなら世界中のキャリパーを全てアルミ製にしてほしい。コストの問題ですかね。
全く錆がなく、ブーツもリングも傷んでませんが、せっかくなので交換しておきます。
後輪のブーツはボロボロでした。アルミ製のキャリパー最高です!
今回はブーツを被せるのに適当な径の瓶の蓋を使いました。
蓋のサイズが僅かに大きく、部分的に若干嵌り切ってませんが、まあ外れることはないでしょう。
何度かトライして、ピストンにブーツを乗せるのもうまくいきました。
取り付けに際しては、ピストンを一番奥まで押し込めておきます。
ディスクとパッドは後日、左前輪のメンテをしたときに同時に交換予定です。
片方だけ変えるのはなんだか気持ちよくないので。
左前輪キャリパー
9月25日(土)残り1輪の作業を行います。
このパッドには摩耗センサーが付いてるので最初に取り外します。写真のようなクリップでパッドの溝に嵌めるようになっています。
7mmの六角レンチでキャリパーを止めているボルトを抜いていきます。
キャリパーをブレーキホースから外しますが、そのままだとブレーキフルードがジワジワ漏れっ放しになるので、周りも汚れるし、エアがブレーキホース内を上がっていかないか、またはブレーキフルードタンクの液面が下がり、そこからエアがブレーキ系統に入っていかないか気になります。
そこで竹の箸の先端をブレーキホースに突っ込み、それでも滲んできた場合に備え、ショップタオルをねじりっこで巻き付けて液漏れを最小にするようにしています。
作業中はこんな感じです。箸を突っ込むだけでほぼ止まり、ショップタオルに液が着くこともほとんどありません。
このまま一晩置いて翌日の作業になっても問題なく、エア抜きもスムーズでした。
写真は外した部品です。
左前輪も、キャリパー、ピストン、シール、ブーツ全く問題なし、まだまだこのままで行けそうです。アルミ製本当に素晴らしいです。
右前輪は交換したのでこっちも交換しておきます。
百均の瓶の蓋でブーツを嵌めようとしますが、右前輪同様、どうしても一部しっかり嵌められませんでした。
まあ、外れることはないでしょう。例え水が入っても内部は錆びるものがないので大丈夫です。
ピストンの押し付け具合や位置を変えて何度もトライして、やっとブーツをピストンに被せられました。
さて、キャリパーのメンテは以上ですが、パッドとディスクは状態が良く見えたので、交換はもう少し後でもいいかなと思ってました。
摩耗限界は22.4mmなので測ってみます。
すると、あら?、良く見えましたが、左前輪ディスクの厚みは限界を0.5mmほど下回っています。
右前輪も同様です。ディスクもパッドも用意してあるのですぐに交換します。
ディスクが激しく固着しています。
1週間前の右前輪キャリパー作業時に、左右輪ともホイールボルトの穴やハブ周辺にCRCを吹き付け、ハンマーでカンカン振動を与えて浸透を促していましたが、それでもかなり苦労しました。
あまりガンガンやるとハブベアリングが損傷するとも言われてるので、粘り強く長時間カンカン叩いて、固着を剥がしていく必要があります。
フロント左右のディスク外側面です。写真左側が右前輪です。パッドとのアタリは良好です。
内側面、こちらもアタリは良好です。ですが厚みが足りないので交換するしかありません。
左前輪のパッドです。残量は十分にありますが、ディスクを交換してパッドを交換しないのは無しだと思います。
右前輪です。こちらも残量は十分ですが交換です。
これで四輪全てのキャリパー、パッド、ディスクの交換が終わり、ブレーキ周りに関してはしばらく快適に乗れそうです。
この車は2010年製で、大破または修理困難な故障にならなければ2030年まで乗りたいと思っています。
今後2030年までの9年間、パッドやディスクは走行距離に応じて交換していくとして、フロントのアルミ製キャリパーはもうメンテの必要はないかなと。
しかし、後輪の鋳鉄製のキャリパーは途中1回、4~5年後に一度メンテの必要があると思っています。
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