2008年夏~五右衛門風呂の仮設架台を製作

その他

知人の「たてる」さんからの依頼で、このような物を作りました。
五右衛門風呂を据え付ける際の仮設架台です。

説明を聞くとご自宅に五右衛門風呂を設置する予定で、風呂釜の周囲はセメントや玉石で固める予定だが、それまでの間、風呂釜を支えるための架台が欲しいとのことです。

であれば、最終的にはセメントが基礎となって風呂釜を支えるため、火を入れるかまど部分に木材で仮の架台を作り、周囲のセメント部分が完成した後、火を入れて木材の架台を燃やすのではどうかと提案しました。

しかし、たてるさんは、架台は仮設ではなく、将来的にも残ってセメントと共に風呂釜を支え続けるものであってほしいので、鉄で作ってほしいとのことです。

ご自宅に訪問して、風呂釜を見せていただきました。五右衛門風呂の風呂釜の形状は真円ではなくやや横長です。
最近の五右衛門風呂は形状が工夫されているようです。

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ご希望をお伺いしながら、比較的簡単に入手できる鉄筋で製作してみました。
風呂釜の重量は、水を満杯にした状態で330kgあります。
まず、風呂釜の重量を直接受ける縦の部材を、十分な強度を持ち、かつ入手が容易な16mmの異形棒鋼を使うこととしました。
この部材は、真っ直ぐなままで特に加工の必要はなく、切断するだけで使います。

そして、上下の楕円状の輪は13mmの異形棒鋼としました。こちらは、重量を直接受けるわけではなく、縦の部材を一定の位置に固定する役割と考えます。
この上下の部材は、風呂釜の形に合わせ、楕円形に曲げ加工する必要があり、人力で加工するには13mm程度が限界であろうと想像しました。各部の接合は溶接です。

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手前側は火の焚き口で、30cm程度の開口幅が必要とのことです。
そして、手前側に設けた半円型の凹みは、釜の底から出る排水パイプに干渉しないための細工です。
奥側は、煙が出ていく穴が位置する場所であり、こちらもある程度の開口幅を確保しました。

13mmの鉄筋を楕円形に曲げるのは、電柱に押しつけたり、ハンマーで叩いたり、いろいろやってみましたが、ぴったり思う形とはならず、ややいびつな仕上がりとなってしまいました。

上側の楕円は、ある程度強度を保ち、かつ排水パイプと干渉しないために、半円状の鉄筋を溶接してループを閉じています。
下の楕円の継目にも、強度を保つために端材をあてて溶接し、ループを閉じています。

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この上に釜を載せた後は、玉石とモルタルで周囲を固めるとのことなので、それまでの間釜の重量を支えられれば良いが、依頼人のご希望は将来的にも残って機能を維持してほしいとのこと。計算上の強度は十分です。

さて、出来上がった架台を持っていき風呂釜を載せてみると、思いの外形状もぴったりフィットしていい感じになりました。

そして、設置の状況は依頼人のブログ「8回の転居の末に家を建てる」のとおり、立派な五右衛門風呂に仕上がっています。
自宅建設の詳細な記録の中に、多様な楽しみ方がぎっしり詰まっていて、読み手にもう一度家を建てたくなる気持ちにさせる、とても魅力的なブログです。

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